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ねえさんの家

by Azusa Yamamoto

ものづくりをする生き方に、とてつもなく惹かれます。

GWの最中、いいお天気が続くので洗濯を干そうと、家の濡れ縁(築50年の平屋に住んでいます)に出ると、ブーンという羽音とともに脚の長いスタイリッシュな“ねえさん”が庭先を軽やかに行き来していました。

実は昨年、このねえさんが家の中に入ってしまって、カラダが大きいものですからこわくて家をあけていたことがあるんです。実家や友人宅に泊まって3日後、おそるおそる平屋へ帰ると、ねえさんの気配はなく、どこかの隙間から外に出たのかしらん、と安心していました。しかしその翌日、ねえさんは羽音もたてずに飛んで来て、さまよい疲れた様子でカーテンに必死に捕まっているところに遭遇。窓をあけると、最後の力をふりしぼって外へ出ていきました。

その、ねえさんが今年は軒下にせっせと巣をつくっていました。

様子を見ると、すでに部屋が5個くらいできている。性格は昨年の一件で学んだとおり、おとなしいので、共に生きる方法はないかと調べてみたけれど、平屋は住宅に囲まれ、目の前の細長い畑と通路は近所の小学生たちの秘密の道となっていたりするので、きっと驚いたり騒いだりする人がいそうだな、なんていう考えが浮かび、運命のガッカリを受け入れざるを得ないという結論にいたりました。

巣は、ねえさんがたった一人でつくるんです。

−−女王蜂は鋭いあごで、木を少しずつかじり取って唾液と木の繊維を混ぜて巣をつくります。その巣は日本の和紙のような材料のため、頑丈にでき上がります−−。

巣を見てみると、綺麗な六角形をしていて、灰汁色の和紙のような質感。なんとまあ見事なものづくり! この仕事っぷりに尊敬の念を抱きながら、そおっと平屋の濡れ縁に出て、軒下を見上げる。そこには、ねえさんがひしっと巣にとまっている。お腹に授かった子どもを抱く母親の姿のよう。大事に、大事に抱いている。けれども、ここに建ててはダメなんだよ、ねえさん……。

材料を取りに出かけた彼女の留守を見計らって、箒ではらいました。巣は、何度もはらわないと落ちないくらいに軒下にくっついている。さながら器物破損の現行犯の気分。

ぽとり。

やっと巣が軒下から落ちました。落ちた巣を拾って見てみると、ひとつひとつの部屋に卵が産みつけてありました。
そうだよね。だからあんなに大事そうに抱っこしてたんだね。

出かける途中で、材料を求めて飛ぶねえさんに出会いました。きっとあのヒトです。せっせと働く彼女が目の前をブーンと勢いよく通り過ぎていきました……。


見れば見るほど美しいねえさんの作品。写真を撮ったあと、せめて土に還ってほしいと、庭にシャベルで穴を掘って埋めました。

今年も、平屋に生き物がたくさんやってくる季節。

ものづくりをする生き方に、とてつもなく惹かれます。


Azusa Yamamoto
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